生理不順や不妊治療の検査の中でホルモンの値を調べることが多いのですが、その中で
プロラクチン
というホルモンの値が高いことがよくあります。
プロラクチンとは、頭の中の下垂体という部分から出ているホルモンで、乳腺を刺激し母乳を出す働きがあるため、出産後の授乳の時期に沢山出てくることになります。
プロラクチンには排卵を抑える作用があるため、授乳中には避妊作用があると言えますが、普段は排卵しないために生理不順の原因となったり、不妊症の原因となることも。
また、出産していないのに乳汁が出る原因にもなります。
プロラクチンが高くなる原因としては、下垂体に腫瘍がある場合や、胃薬など内服薬の副作用で高くなることがありますが、原因不明のことも非常に多いのです。
そこで、プロラクチンが高すぎる場合には、内服薬にて下げることができるのですが、正常範囲内に収まっているけれど、治療の適応があるかも、という論文を見つけたのでご紹介したいと思います。
それがこちら。
こちらの論文では、プロラクチンが25〜50ng/mlと、軽度高値の女性30名を対象に、15人のみブロモクリプチンという治療薬を1日5〜10mg投与して、年齢や体重が一致した女性と比較しました。
性機能障害に関してはFSFIスコア、うつ症状に関してはBECKスコアにて評価しました。
FSFIスコアに関してはこちら
https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/repro/patient/sexual_impairment/question01.pdf
BECKスコアに関してはこちら
Beck Depression Inventory (ベックうつ病調査表)
その結果、ブロモクリプチン治療群ではFSFIスコアは改善し、BECKスコアも軽度改善が認められたのです。
このデータで評価されたのはプロラクチンが25〜50ng/mlという数値だったのですが、実際に検査してみると、これくらいの数字の方はかなり多い印象です。
もちろん、そういう方みなさんが、性機能障害や鬱症状に悩んでいる訳ではありませんが、もし気になる症状がある方は、一度プロラクチンについて相談されてはどうでしょうか。