東日本橋レディースクリニック

東日本橋にある駅チカクリニックです。診察中には説明しきれない事を中心に女性医療に関する事を書いています。

腰痛がビタミンDで改善する?

以前、手術による痛みがビタミンCにて軽快する可能性についてブログに書きました。

 

ビタミンCが手術の痛みを改善する可能性 - 東日本橋レディースクリニック

 

そこで、今回は同じサプリ繋がりでビタミンDと腰痛に関する論文を見つけたのでご紹介したいと思います。

 

Evaluation of vitamin D levels in patients with chronic low back-leg pain. - PubMed - NCBI

こちらの論文では、慢性的な腰痛・下肢痛を訴える145人(女性103人、男性42人)を対象に、血液中のビタミンDの濃度と痛みの関係について評価しています。

ビタミンD血中濃度としては、30 ng/ml以上を正常、21-29 ng/mlを低下群、20 ng/ml以下を欠乏群としました。

33人(22.8%)が欠乏群、62人(42.8%)が低下群、50人(34.5%)が正常群でした。

 

その結果、痛みの強さとビタミンDの濃度に関係は認められませんでした。一方で以下で示すODIスコアという腰痛と日常生活の制限について評価するスコアでは、欠乏群:18.78、低下群:15.46、正常群:14.52と、ビタミンD欠乏群が最も腰痛・下肢痛によって日常生活に制限があることがわかりました。

 

ODIスコアはこちら

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 また、腰痛とビタミンDの関係を示した論文は他にもあります。

Mapping the Association between Vitamin D and Low Back Pain: A Systematic Review and Meta-Analysis of Observational Studies. - PubMed - NCBI

こちらの論文でも、ビタミンD血中濃度が低い人ほど腰痛があることが示されています。この論文の中では、男性ではあまり特徴的な傾向は無かったものの、60歳未満の女性では、ビタミンD濃度の低さと腰痛の関係性が良く認められました。

 

では、ビタミンDのサプリを飲めば、ビタミンD血中濃度が上昇して、腰痛が改善するのでしょうか。

それを評価した論文がこちらです。

 

Is Vitamin D Supplementation Effective for Low Back Pain? A Systematic Review and Meta-Analysis. - PubMed - NCBI

こちらの論文では、ビタミンDプラセボ群、何も治療しない群、保存治療群、他の薬物治療群とを比較したところ、ビタミンDでの治療が効果的、という結果は出ませんでした。。。

 

今までの経緯から言うと、ビタミンDが少ないと腰痛が出る。だからビタミンDを補充すれば改善するはずだ、と予想されたのですが、結果はそうならなかったのです。

 

これはビタミンDのサプリの種類別に検討したり、腰痛の原因として、骨粗しょう症や圧迫骨折から来ている腰痛との比較をしてみても、結果は同じ、、、ビタミンDのサプリは摂っても摂らなくても結果は同じだったのです。

 

以上のことから言えるのは、ビタミンDが少なくなるから腰痛が起きているのではなく、腰痛が起きた結果としてビタミンDが下がっている、もしくは、ビタミンDと腰痛には直接的な関係は全くない可能性があります。

 

ただし、例外をまとめた論文もあります。

 

それがこちら。

 

Vitamin D supplementation may improve back pain disability in vitamin D deficient and overweight or obese adults. - PubMed - NCBI

 

こちらの論文では、ビタミンDサプリと腰痛に関し、体重の重い女性に限定して検証しています。

 

BMIが25 kg/m2以上の65人の女性が対象であり、ビタミンD欠乏症(25(OH)DというビタミンDの数値が50 nmol/L以下)である方たちを二つのグループに分け、一方はプラセボ群、もう一方は100,000 IUのビタミンD を内服した後に、1日4,000 IUを16週間継続しました。

 

その結果、ビタミンD 摂取群もプラセボ群も腰痛に関して違いはありませんでした、、、

 

しかし、25(OH)Dが30nmol/l以下の方に限定して検討すると、明らかに腰痛が改善していたのです。

 

対象となった方の人数がかなり少ないものの、体重が重くてビタミンD血中濃度が低い方の腰痛にはビタミンDのサプリが効くのかもしれません。

 

ただ、この論文での1日目のビタミンD の量が100,000 IUなんですが、国内のサプリを見てみると、だいたい1粒=500〜1000IUとなっています。そうなると、100〜200粒も飲むことになり、全く現実的ではありません。

 

初日の大量内服はさておき、それ以降であれば1日4,000 IUとなるため、比較的現実的な量になるかと思います。

 

それでも、16週間というと結構な期間ですし、何よりビタミンD血中濃度が低い場合に限られた結果なので、もし気になる方は一度かかりつけで血中濃度を調べてみるのは一つの手かも知れませんね。