東日本橋レディースクリニック

東日本橋にある駅チカクリニックです。診察中には説明しきれない事を中心に女性医療に関する事を書いています。

ビタミンCが手術の痛みを改善する可能性

今回ご紹介する論文はこちら

 

Effect of Intravenous High Dose Vitamin C on Postoperative Pain and Morphine Use after Laparoscopic Colectomy: A Randomized Controlled Trial

 

2013年から2014年にかけて、大腸癌のために腹腔鏡手術を受けた20歳から75歳の方を対象に、全身麻酔がかかってから50mg/kgのビタミンCを投与しました。一方でコントロール群としては同量の生理食塩水を投与し、患者自身にはどちらが投与されているかわからない状況で比較しました。

痛みのコントロールとしては、PCAという方法がとられました。これは、患者さん自身が痛みを感じたときにボタンを押すことで自動的に鎮痛剤が入るようになるシステムです。今回の論文では、1回ボタンを押すごとに1mgのモルヒネが入るようなPCAシステムが使われています。

また、痛みが10段階中4以上になるようであれば、トラマドールという鎮痛剤を50mg注射して、痛みをコントロールするようにしています。

 

以上の方法で、ビタミンCを投与した群50名、コントロール群50名を比較しました。

 

その結果、術後2時間、6時間、24時間ともにビタミンC投与群で痛みのスコアが軽くなることが示されました。しかし、咳をした時の痛みは、ビタミンC群もコントロール群ともに同様の痛みがありました。

また、術後2時間までのモルヒネ使用量は、ビタミンC群の方が少なくなりましたが、術後6時間、24時間ではどちらの群もモルヒネ使用量は同等でした。

痛みが強くなった時に使用するトラマドールという薬の量に関しても、コントロール群でより多く必要とされました。

 

このように、術前にビタミンCを投与することで、術後の痛みをある程度軽くすることが出来る可能性があります。術後2時間まではビタミンCによる効果が認めれているのですが、それはビタミンCを投与しても短時間で体内から排出されることが原因として考えられます。

今回の論文では、術前のみのビタミンC投与でしたが、術後にも投与してビタミンCの血中濃度を維持することで、より痛みを軽く、痛み止めの使用量を減らせる可能性があります。

 

以上がビタミンCの点滴で術後の痛みが軽くなるかもしれない、という論文でした。次に点滴ではなく内服で検討した論文をご紹介します。

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22402954

 

こちらの論文では、腹腔鏡胆嚢摘出術という手術に対してビタミンCを内服してもらい、術後の痛みがどうなるか評価しています。

対象となった80名には、麻酔開始1時間前に2gのビタミンCを内服する群と、プラセボ(何の効果もない粒)を内服する群に分かれてもらいました。

術後の痛みに対しては、上の論文と同じようにPCAという方法でモルヒネを使いました。

 

その結果、術後24時間のモルヒネ使用量は、ビタミンC群では16.2mg、プラセボ群では22.mgとビタミンC群の方が明らかに少なくなるという結果でした。

 

 

問題点があるとすれば、日本では痛みを軽くするためにビタミンCを使う、というのが保険では認められておらず。。。そして、保険診療で入院しているときに、ご希望で自費治療を加えることも「混合診療」として認められておらず。。。せっかく、この論文ではビタミンCの効果がありそうだとわかっているのに試すことができない状況です。可能性があるとすれば、事前にご自身でビタミンCを用意してもらって、術前に内服していいのかどうかを確認してもらうという方法でしょうか。間違っても、主治医に隠れてこっそり飲むなんてことはしないでくださいね。。。

 

ビタミンCを痛み軽減のために使えるように保険で認められるのを待つしかない状況です。。。

 

(ビタミンCである程度痛みが軽くなるのは確かなようですが、何もビタミンCを使わなくても、今回の論文で出てくるモルヒネのような痛み止めをしっかり使ってコントロールするだけでも問題ない気はします。ただし、同じ痛み止めを使う量が増えてくると、それによる副作用が増えてくることがあるので、もし痛み止めによる副作用が問題になるようであれば、ビタミンCを併用して、痛みをコントロールするのは、良い選択肢と言えるでしょう)