東日本橋レディースクリニック

東日本橋にある駅チカクリニックです。診察中には説明しきれない事を中心に女性医療に関する事を書いています。

過活動膀胱が性機能に及ぼす影響

トイレが近くなる過活動膀胱という状態 - 東日本橋レディースクリニック

 

以前、過活動膀胱という状態について説明しました。

 

今回は、その過活動膀胱と性機能障害について書きたいと思います。

 

まず、性機能障害とは性交時の痛み、腟の痛みを伴う痙攣、性欲や性的興奮、オルガスムの問題などを言います。

 

わかりやすい指標としては、FSFIスコアというものがあり、性欲、性的興奮、腟潤滑、オーガズム、性的満足、 性交痛の 6 つの項目について過去 1 ヶ月の状況を質問するアンケート方法があります。

 

FSFIは、それぞれの項目について点数化し、それを合計してトータルスコアを算出するもので、点数が高いほど良好な状態を示します。

26.55点以下の場合、性機能障害とされています。

 

具体的な項目は以下のリンク先で確認してみてください。

 

https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/repro/patient/sexual_impairment/question01.pdf

 

次に過活動膀胱と性機能障害に関する論文です。

 

Impact of Overactive Bladder-Wet Syndrome on Female Sexual Function: A Systematic Review and Meta-Analysis. - PubMed - NCBI

 

過活動膀胱には尿失禁を伴う場合と、尿失禁を伴わない場合があるのですが、尿失禁を伴う過活動膀胱が性機能障害に関わるリスクが高い事がわかりました。

 

また、過活動膀胱の治療によって、性機能障害のリスクも0.19倍に大幅に減少する事がわかりました。

 

Severity of urinary incontinence is associated with prevalence of sexual dysfunction. - PubMed - NCBI

 

またこちらの論文でも、尿失禁の程度が酷いほど、性機能障害に関係するという結果も出ています。

 

Does the Severity of Overactive Bladder Symptoms Correlate With Risk for Female Sexual Dysfunction? - PubMed - NCBI

 

こちらの論文では、18歳以上の過活動膀胱である女性267人を対象に調査しています。

 

平均年齢は50.2歳で、54.3%が閉経していました。また、閉経前の女性では65.6%の方に性機能障害のリスクがあり、閉経後の女性では86.2%の方に性機能障害のリスクがありました。

 

このように多くの論文で過活動膀胱と性機能障害の関連性が指摘されています。

 

そこで、性機能障害の改善のための治療法について紹介したいと思います。

 

 

Percutaneous Tibial Nerve Stimulation Improves Female Sexual Function in Women With Overactive Bladder Syndrome. - PubMed - NCBI

 

こちらの論文では、過活動膀胱のある女性の性機能障害に対して、経皮的脛骨神経刺激という方法が効くかどうかを試しています。

 

経皮的脛骨神経刺激と言うのは、下のような機械を使って、足首の部分に電極を貼って神経を刺激する方法です。

 

f:id:obgyne:20191108221257j:image

 

対象となったのは尿失禁を伴わない過活動膀胱の女性41名で、上で説明したFSFIスコアが26.55点未満の方であり、26.55点以上になった場合を効果ありと判断しました。

 

その結果、51%(21名)が効果ありと判断され、うち9名の治療前FSFIスコア18.11点が、治療によって31.4点に大きく改善していました。

 

The impact of Mirabegron on sexual function in women with idiopathic overactive bladder. - PubMed - NCBI

 

次の論文では、過活動膀胱に対してミラベグロン(商品名:ベタニス)を使用して性機能障害が改善しないかを調べています。

 

対象となったのは過活動膀胱のある50名の女性で、49名は性機能障害がありました。

 

ミラベグロンでの治療開始後12週間が経過した時点で、過活動膀胱の症状は明らかに改善し、59.5%は完全に尿失禁が治りました。

 

42名(84%)のFSFIスコアは、18.9点から21.8点へと明らかな改善が認められ、16名(32%)は26.55点以上に改善しました。

 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2013/0/2013_1327/_pdf/-char/ja

 

また、こちらの論文では過活動膀胱の治療として挙げられる骨盤底筋運動によって、FSFIか12.4点から23.3点にまで改善したと報告されています。

 

このように過活動膀胱という状態は性機能障害と深く関わっており、また過活動膀胱の治療を行う事で、性機能障害も改善する可能性が期待できます。

 

もしも、過活動膀胱と共に性機能障害の悩みがある方がいましたは、一度かかりつけでご相談されてはどうでしょうか?

 

なお、残念なことに性機能障害に関する認識はあまり広がっていない可能性が高く、どちらかというと過活動膀胱の治療が中心になるかもしれません、、、