東日本橋レディースクリニック

東日本橋にある駅チカクリニックです。診察中には説明しきれない事を中心に女性医療に関する事を書いています。

過敏性腸症候群の方の性生活に関する問題

過敏性腸症候群という名前を聞いたことはあるでしょうか?

 

これは、小腸や大腸に病気などの異常が見つからないのに、便通の異常や腹部の不快な症状が続く病気のことです。

 

女性のほうが多く、年齢とともに減ってくることがわかっています。命に関わる病気ではありませんが、お腹の痛み、便秘・下痢、不安などの症状のために日常生活に支障をきたすことが少なくありません。

 

診断基準としては、以下のようなものが挙げられます。

 

・最近3ヵ月の間に、月に3日以上にわたってお腹の痛みや不快感が繰り返し起こり、次に挙げる特徴の2つ以上が当てはまる。

1)排便によって症状がやわらぐ

2)症状とともに排便の回数が変わる(増えたり減ったりする)

3)症状とともに便の形状(外観)が変わる(柔らかくなったり硬くなったりする)

 

もちろん、こういった症状があった場合に、全てが過敏性腸症候群にはなりません。何か他に原因となる病気がないかを調べた上で、特に原因となるようなものが見つからなかった場合に、過敏性腸症候群という診断になります。

 

そこで、今回はそんな過敏性腸症候群の患者さんと、その性生活に関する論文を見つけたのでご紹介したいと思います。

 

Could problems in the bedroom come from our intestines? A preliminary study of IBS and its impact on female sexuality. - PubMed - NCBI

 

こちらの論文では、過敏性腸症候群の症状が性生活にどの程度影響するかを調べています。

 

対象となったのは、23〜33歳の307名の女性で、そのうち143名が過敏性腸症候群と診断されていました。

 

過敏性腸症候群の143名のうち、41名(29%)は重症、68名(47%)は中等症、34名(24%)は軽症でした。

 

その結果、性機能障害の確率は、過敏性腸症候群のある方で48%に上りました(過敏性腸症候群のない健康な方では23%)

 

性機能障害:「性行為への関心が減り興奮が困難になること」、「オルガズムの障害」、「性行為に関する痛み・挿入障害」などが当てはまります。

 

また、性機能に関するアンケートである女性性機能指数というスコアでは、健康な方と過敏性腸症候群が軽症の方では30点、中等症では26.2点、重症の方では24.4点という結果でした。

 

女性性機能指数というアンケートに関しては、以下の表をご参照下さい。

 

https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/repro/patient/sexual_impairment/question01.pdf

 

このように、過敏性腸症候群は症状が重くなるほど、性生活に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。

 

もし、過敏性腸症候群に悩んでいる方で、性生活にも困っている方がいましたら、まずはその二つが関係しているのだということをわかっていただければと思います。

 

そして、過敏性腸症候群の症状が重いほど、性生活に影響を及ぼす可能性から考えて、過敏性腸症候群の治療を進めれば、性生活に関する症状も改善する可能性があるため、かかりつけで相談されることをお勧めします。