東日本橋レディースクリニック

東日本橋にある駅チカクリニックです。診察中には説明しきれない事を中心に女性医療に関する事を書いています。

子宮内に入れるミレーナについて

今回は、生理痛や生理の量が多い方の治療法となるミレーナについての論文をご紹介したいと思います。

 

基本的なことはこちら。

 

生理痛について その4 ミレーナ - 東日本橋レディースクリニック

 

そして、今回ご紹介する論文はこちら。

 

Treatment of symptomatic adenomyosis with the levonorgestrel-releasing intrauterine system. - PubMed - NCBI

 

こちらの論文では、2006年から2014年にかけて、生理痛や生理の量が多い子宮腺筋症(子宮の筋肉が分厚くなり、子宮そのものが大きくなること)という状態である1,100名の方を対象にミレーナを挿入し、その後の経過を観察しています。

 

その結果、33.7%(374名)は5年間ミレーナを継続でき、生理痛や貧血に関しては明らかに改善していました。

また、5年継続した時点で無月経になった人は97名(25.9%)、月経周期が短くなった人は82名(21.9%)でした。

 

ミレーナ自体は一度入れると5年間有効であり、非常に良い治療法ですが、この論文では5年間継続できたのが3割程度という結果でした。

おそらく子宮腺筋症という状態である程度子宮が大きくなっていると、ミレーナの大きさがフィットせずに自然に脱落してしまうことも、継続率が低くなっている原因の1つと思われます。(ミレーナ自体が1種類の大きさしかなく、どんな子宮の大きさであっても、その1種類のミレーナを使うしかないのです)

 

そこで、子宮腺筋症のために子宮が大きくなっている方を対象とした別の論文もご紹介したいと思います。

 

Clinical experiences of the levonorgestrel-releasing intrauterine system in patients with large symptomatic adenomyosis. - PubMed - NCBI

 

こちらの論文では、2008年から2009年に超音波検査で子宮腺筋症と診断された48名の方を対象にミレーナを挿入した後の経過を観察しています。

平均年齢41.7歳、平均フォロー期間は20ヶ月です。

 

その結果、生理痛や生理の量の多さは明らかに改善しましたが、子宮そのものの大きさが明らかに小さくなるということはありませんでした。

 

最も多くの副作用としては、少量の不正出血が長引く方が28名(58.3%)、ミレーナが出てしまう方が18名(37.5%)でした。

また、5名(10.4%)は何らかの理由でミレーナを取り除き、8名(16.7%)は子宮摘出術を受けていました。

全体として、ミレーナの治療が継続してうまくいった方は68.8%でした。

 

やはり、こちらの論文でも3割近い方はミレーナ治療がうまくいっていない、という結果が読み取れます。

 

子宮腺筋症というのは、程度が様々で物凄く子宮が大きくなっている方もいれば、多少は大きいかな、という程度の方もいます。

超音波検査で子宮の大きさが何cm以上あれば子宮腺筋症である、という厳密な定義もないため、ある程度は幅のある診断名になっているのです。

 

その中でも、見るからに子宮が大きくなっている子宮腺筋症の方では、本当に生理痛も強く、貧血がどんどん進んでしまうほど、生理の量が多くなってしまうことも。

 

そこで、一度入れてしまえば5年間有効なミレーナは大変良い選択肢なのですが、今回ご紹介したように、子宮の大きさとバランスが取れず、自然に脱落してしまうことも、、、

 

場合によっては、ミレーナを入れる前にGnRHaというホルモン剤を使って、一時的に閉経状態に持ち込み、ある程度子宮が縮んだのを見計らってから、ミレーナを入れてみるのも1つの手かもしれません。

 

ただ、実際にミレーナを挿入して経過を見ていると、上手くいっている方は子宮の大きさが少しずつ小さくなっているように感じています。

 

そのあたりは、こちらの論文でも証明されていました。

 

The LNG-IUS study on adenomyosis: a 3-year follow-up study on the efficacy and side effects of the use of levonorgestrel intrauterine system for the ... - PubMed - NCBI

 

こちらの論文では、子宮腺筋症と診断された94名の方にミレーナを挿入し、3年間フォローしています。

 

その結果、生理痛に関しては考えうる最大の痛みを100とした時に、ミレーナ挿入前の77.9から、ミレーナ挿入3年後では11.8に減少していました。

 

また、子宮の大きさも113.8から半年後に94.5、1年後に87.7と少しずつ小さくなっていき、2年後、3年後には明らかに小さくなっていました。

 

最も多くの副作用としては、28.7%に体重増加、22.3%に卵巣の腫れ(一時的なもので、特に問題にならないことがほとんどです)、12.8%に下腹部痛が認められました。

 

72.5%の方が、3年経過時点でミレーナに対して満足している、という結果でした。

 

やはり、3割前後の方は脱落するなりして、ミレーナが上手くいっていないのですが、7割は上手くいく治療法なので、まずは試してみる価値はあると言えそうです。

 

もし、生理痛がつらい、生理の量が多すぎるんじゃないか、検診のたびに貧血を指摘される、という方は、子宮腺筋症の可能性もありますので、一度は婦人科で相談してみて下さいね。