東日本橋レディースクリニック

東日本橋にある駅チカクリニックです。診察中には説明しきれない事を中心に女性医療に関する事を書いています。

女性型の脱毛症について

男性型脱毛症としてAGA治療というものを様々な広告で見かけるようになりましたが、今回はその女性版ともいえる「女性型脱毛症」に関して説明したいと思います。

 

男性の場合は、前頭部や頭頂部が薄くなっていくことが多いのですが、女性の場合は、頭頂部の比較的広い範囲で頭髪が薄くなることが多く、更年期に多発しやすいと言われています。また、膠原病という病気や甲状腺の病気、貧血や急なダイエットが原因になることもあります。

 

実際の治療ですが、男性の場合は、フィナステリド(商品名:プロペシア)やデュタステリド(商品名:ザガーロ)の内服が有効ですが、女性の場合は無効を示す論文があります。

 

その論文がこちら。

Lack of efficacy of finasteride in postmenopausal women with androgenetic alopecia

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11050579

この論文では、41~60歳の閉経後である女性137人を対象に、フィナステリドを1日1㎎内服する群と、プラセボ(何の効果もない粒の薬)を内服する群に分けて比較しています。

その結果、1年間フィナステリドを内服しても、薄毛を改善する効果も、薄毛の進行を抑える効果もありませんでした。

また、妊娠中・妊娠している可能性のある女性には、赤ちゃんの奇形の確率を上げる可能性から、フィナステリドもデュタステリドも内服していはいけないことになっています。

 

次に、外用薬ですが、女性の場合は1%のミノキシジルの使用を勧められています。

 

Interventions for female pattern hair loss

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27225981

こちらの論文では、1242名の女性を対象に24~32週間の経過を診たところ、ミノキシジル外用薬にて1㎠あたり13.18本の増毛が確認されました。副作用に関しては、1%ミノキシジルが1.12、2%ミノキシジルで1.24、5%ミノキシジルで2.05という結果でした。かゆみや発赤、フケ、毛包炎、肌荒れなどが副作用として挙げられ、1%ミノキシジルがより安全と言える結果でした。

 

以上から、女性型脱毛症には1%ミノキシジルの外用が強く勧められています。

 

また、世界的には40万件近い自毛植毛術というものが行われており、80%以上の生着率があるとされています。そのため、上記で説明した外用薬が効果が十分でない時には、自毛植毛も選択肢の一つになります。

 

その他には、アデノシンという薬の外用という選択肢もあります。

Adenosine increases anangen hair growth and thick hairs in Japanese women with female pattern hair loss

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19239555

こちらの論文では、日本人女性30人を対象に、0.75%のアデノシンローションを塗る群と、何の意味もないローションを塗る群に分けて比較しました。

その結果、アデノシンローションを塗った群では13名中11名が軽度改善以上の効果を示し、毛成長率・太毛率も使用後6カ月・12カ月で明らかに改善していました。

 

女性の男性型脱毛症に対するペンタデカン酸グリセリド配合製剤の臨床効果

https://www.jstage.jst.go.jp/article/skinresearch1959/37/6/37_6_800/_article/-char/ja/

次に、こちらの論文では、2.5%ペンタデカン酸グリセリド・酢酸トコフェロール0.2%含有育毛剤を33名の女性に半年間使ってもらったところ、79%が総合的な軽度改善を認め、洗髪時の抜け毛量の軽度改善度は76%という結果でした。

 

その他にも、カルプロニウム塩化物・t-フラバノンといった外用薬にも検証した人数は少ないものの一定の効果は認められており、試してみても良い分類に入っています。

 

それぞれの薬についてですが、最も勧められている1%ミノキシジルは市販薬(リアップなど)、アデノシンもペンダデカン酸グリセリドもt-フラノバンも市販薬で、カルプロニウム塩化物は市販薬も処方薬もあります。

 

以上のように女性型脱毛症にはいくつもの選択肢がありますので、気になる女性は一つずつ試してみてはどうでしょうか。