東日本橋レディースクリニック

東日本橋にある駅チカクリニックです。診察中には説明しきれない事を中心に女性医療に関する事を書いています。

下肢静脈瘤と腹痛の関係

慢性的に続く下腹部の痛みと、デリケートゾーンや太腿の裏に血管が浮き出ている方は、

 

骨盤内うっ血症候群

 

の可能性があります。

 

これは、骨盤の中の血流が悪くなってしまい、その結果として、何カ月も続く慢性的な骨盤痛や血管が浮き出る「静脈瘤」という状態になる病気です。

 

特徴としては、出産経験がある閉経前の方、立っている状態・夕方・性行為の時に悪化し、横に寝ると軽くなる片側の骨盤痛が挙げられます。

 

https://www.ejog.org/article/S0301-2115(09)00646-0/fulltext#/article/S0301-2115(19)30481-6/fulltext

 

こちらの論文では、骨盤内うっ血症候群と関連する症状に関して調べています。

下肢静脈瘤だけがある30名の女性をグループ1、下肢静脈瘤とともに骨盤内うっ血症候群の症状を引き起こしている外陰部の静脈瘤がある45名の女性をグループ2として比較しています。

 

その結果、グループ2では、下肢の痛みが4.23倍、下肢のむくみが7.42倍、脚の重い感じが5.3倍、重度の下肢静脈瘤がある確率も2倍となっていました。

 

以上の結果から、骨盤内うっ血症候群は静脈瘤からくる症状の重さと関連していることがわかります。

 

 

このように静脈瘤の症状が重ければ、最近増えてきた「静脈瘤専門クリニック」を受診されることもあるかと思います。

しかし、症状的に婦人科を受診されることもあると思いますし、普段から生理痛が強ければ、子宮内膜症として治療を開始することも。

具体的には、ホルモン治療や漢方薬を使うことが多いのですが、それで症状が改善していれば特に問題はないと言えるでしょう。

 

ただ、薬を使っても症状が改善しなかったり、妊娠希望でホルモン治療が出来なかったり、副作用からホルモン治療ができない場合も。

 

そんな時には、しっかりと骨盤内うっ血症候群の診断を付けて、外科的な治療を選ぶことも必要になってきます。

具体的には、造影剤を使ったCT検査をして、骨盤内のうっ血している血管を見つけ、その血管をスポンジのようなもので栓をして治療することになります。

 

血管に栓をする治療は「塞栓術」と言いますが、成功率はかなり高くなっています。

 

Effectiveness of Embolization or Sclerotherapy of Pelvic Veins for Reducing Chronic Pelvic Pain: A Systematic Review. - PubMed - NCBI

 

こちらの論文では、骨盤内うっ血症候群の診断の女性に塞栓術を行い、早期に痛みが改善した確率が75%という結果になっています。また、時間経過とともに症状改善率は上昇していき、痛みのために再治療が必要になる確率も低いことが示されています。

 

このように静脈瘤との関連性がある骨盤内うっ血症候群ですが、治療法はある程度確率しているものの、この病気自体があまりメジャーなものではなく、婦人科の中でも「子宮内膜症」と「静脈瘤」を別々のものと捉えて治療を進めることが多いかと思います。

 

子宮内膜症としての治療がうまく行っていればいいのですが、もし痛みが改善せず、静脈瘤もあるし骨盤内うっ血症候群かも、、、と思うことがありましたら、一度かかりつけのクリニックで相談してみてはどうでしょうか?