東日本橋レディースクリニック

東日本橋にある駅チカクリニックです。診察中には説明しきれない事を中心に女性医療に関する事を書いています。

出産病院を選ぶ基準 出血の点から

妊婦健診をしていると時々「どこの病院がオススメか」と聞かれる事があります。

 

母体、赤ちゃんの命にとってのベストと言われると、NICUがあって、様々な診療科も揃っている総合病院というのがベストになってきます。

 

ただ、オススメと言われると、その判断基準が「命」なのか、入院中の快適な生活なのか、はたまた医師や助産師との相性も含むのか、と色々考えだすと、途端にオススメ病院を挙げるのが難しくなってしまいます。

 

そこで、今回は母体と赤ちゃんの命という視点、特に母体の出血量に関する視点で説明したいと思います。

 

まずはこちらの論文をご覧ください。

 

https://www.ejog.org/article/S0301-2115(09)00646-0/fulltext#/article/S0301-2115(19)30243-X/fulltext

 

こちらの論文では、1999年から2009年にかけて、オランダで生まれた妊婦さんを対象に、経腟分娩・帝王切開における1000ml以上の産後出血と、胎盤用手剥離の関係について調べています。

 

胎盤は赤ちゃんが生まれた後に自然に剥がれてきたり、臍帯を引っ張って剥がしたりするのですが、なかなか剥がれない時には、胎盤と子宮の間に指を滑り込ませて、文字通り「手」を使って剥がすことになります。

 

自然に剥がれる場合に比べて、やや強引に剥がす部分もあるので、用手剥離の方が出血量が多くなりがちですね。

 

検討の結果ですが、359,737人を対象に調べた所、5.4%が最初の妊娠時に1000ml以上の出血があり、2.7%は胎盤を用手剥離していました。

 

次の妊娠で1000ml以上出血するリスクに関しては、そういった出血がない方では3.9%だったのに対し、以前にそういう出血があった方では18%の確率で繰り返すことがわかりました。

 

また、胎盤の用手剥離に関しても、前回用手剥離をしていない方では1.4%だったのに対し、前回用手剥離した方では17%の確率で繰り返していました。

 

中でも妊娠32週から37週までの間に用手剥離を経験した方では、再び用手剥離を受けるリスクが8.9倍になっていたのです。

 

以上のことから、出血量の多さや胎盤の剥がれにくさは繰り返すリスクがあることがわかり、前回の出産時にそういった事があった方は、それなりに大きい病院での出産を考えた方がいいと言えます。

 

出産病院をどこにするか迷われている方は、参考にしてみて下さい。