東日本橋レディースクリニック

東日本橋にある駅チカクリニックです。診察中には説明しきれない事を中心に女性医療に関する事を書いています。

腫瘍マーカーで感染症の治療効果を予想する

今回は少し専門的な論文になりますが、興味深いものを見つけたのでご紹介したいと思います。

 

骨盤内感染症と言って子宮から細菌がお腹の中に入り感染を起こす病気についての論文です。

 

お腹の中の感染は腹痛や発熱の原因となり、軽いものであれば抗生物質での治療だけで良くなるのですが、重いものになると入院したり手術が必要になることも。

 

そういった細菌がお腹の中に入った時に一番問題になるのは「膿瘍」という細菌の塊を使ってしまうことです。

 

塊を作ってしまうと抗生物質を使っても塊の中までは薬が届かず、結局は外科的に塊を取り除かないといけなくなる事が多いからです。

 

そこで、今回ご紹介する論文では、骨盤内感染症を起こした女性のうち、25%近くが抗生物質での治療が効かず、外科的治療が必要になった経過について評価しています。

 

https://www.ejog.org/article/S0301-2115(09)00646-0/fulltext#/article/S0301-2115(19)30215-5/fulltext

 

対象となったのは、2007年から2018年にかけて、卵巣や卵管に膿瘍を作って骨盤内感染症として抗生物質の点滴治療を受けた91人の患者さん。

 

治療経過として、39人(42.8%)が抗生物質の点滴が効かずに外科的治療を受けることになりました。

外科的治療が必要になった人たちの特徴としては、血液検査での炎症反応が高かったことが挙げられます。

 

入院時のデータで比較すると、CRP (15.7 vs. 10.8 mg/L)、白血球(14200 vs. 12400)、血小板 (374 vs. 295 109/L)と、いずれも炎症反応の高さが外科的治療の必要性と関係していました。

 

また、同様にCA125という腫瘍マーカーも、57 v.s. 30U/ml と外科的治療群で高い値をとっていました。

 

それに加えて、入院時の膿瘍の大きさも、外科的治療が必要になったのは平均75mm、抗生物質の点滴で改善したのが平均57mmという結果でした。

 

骨盤内感染症で入院される方は決して珍しいことではなく、基本的には抗生物質だけで改善する事が多いのですが、膿瘍を作っている場合に手術が必要になるかも、という1つの指標としてCA125が使えるというのは大変勉強になりました。