東日本橋レディースクリニック

東日本橋にある駅チカクリニックです。診察中には説明しきれない事を中心に女性医療に関する事を書いています。

子宮癌検診で引っかかったら

子宮頸がん検診で

要精査


という結果が返ってきた方は、心配で仕方ないと思います。

そこで、精密検査を受ける前に、検診の結果を詳しく解説したいと思います。

 


検診の結果の欄に

ASC-US
LSIL
HSIL

という見慣れない横文字はないでしょうか。
これは、頸癌検診で子宮の細胞を取って、顕微鏡で見た結果を表しています。

子宮頸癌って、なぜなるの?

まず、子宮頚癌になる原因を説明します。ここで、大事になってくるのは、HPVというウィルスです。ヒト パピローマウィルスといって、性行為によって感染するウィルスです。コンジローマというイボがデリケートゾーンにできることがあるのですが、そのコンジローマもHPVが原因になります。
 
厳密にはHPVとうウィルスの中にも細かく種類が分かれていて、子宮頸癌の原因にあるHPVとコンジローマの原因にあるHPVは全く同じものではありません。

ウィルスなので、一度感染しても自分の体がやっつけてくれれば全く問題ありません。ただし、このHPVというウィルスの中でも、特にタチの悪いウィルスに長期間感染し続けると、子宮に癌ができてしまうのです。

いつ子宮頸癌になるの?

先ほど説明したように、タチの悪いHPVに年単位で長期間感染し続けると、中には癌になってしまう方がいます。ただ、いきなり正常な子宮から癌になるわけではなく、段階を踏んで癌に近づいていきます。正常と癌の間の状態を、

異形成

といいます。
そして、異形成の中でも、軽度、中等度、高度と徐々に癌に近づいていくことになります。


異形成になったら、絶対ガンになるの?

正常な状態から、異形成を経て癌になると説明しましたが、全ての人が癌に進んでいくわけではありません。むしろ、異形成になったとしても、多くの人が自然に正常な状態に戻っていくのです。ただ、中には少しずつ癌に近づいていく人がいるので、異形成という状態は要注意ということになります。

どれくらいの確率で癌になるの?

異形成という状態から癌になる確率ですが、これには先ほど説明したHPVというウィルスが関わってきます。タチの悪いHPVに感染している場合、異形成から癌に向かって進む確率は、5年間で2割、10年間だと4割にもなります。その代わり、タチの悪いHPVがいなければ、5年でも10年でも数%しか癌には近づいていきません。
それほど、子宮頸癌にとって、HPVは重要なポイントになってきます。

ASC-USやLSIL、HSILの意味は?

正常と癌の間に異形成がある、と説明しましたが、この異形成の程度を表しているのが、これらの英語表記になります。
 
LSILは、異形成の中でも、より正常に近い

軽度異形成

という状態。

HSILは、異形成の中でも少し癌に近づく

中等度異形成

であったり

高度異形成

という状態の可能性が出てきます。

そして、ASC-USは LSILと正常の間、というイメージですね。



ASC-USはどうすればいいの?


ASC-USは正常とLSILの間と説明しましたが、まれにもっと癌に近い状態が隠れていることがあります。というのも、検診では子宮の表面をサッと擦って、細胞という非常に小さな塊を取ってきているだけなので、そこまで精密には調べることができないのです。実際に、ASC-USという診断でも癌だった、という方が稀にいらっしゃるのです。
 
では、癌かどうか見抜くにはどうすればいいのでしょうか。
それは、先ほどから説明しているように、癌の原因である

HPV


に感染しているかどうかを調べればいいのです。

ASC-USという状態であっても、タチの悪いHPVがいなければ、癌にどんどん近づく可能性は極めて低いので、また1年後に検診を受けてください、という方針になります。

ただ、ASC-USでもタチの悪いHPVに感染していた場合は、より精密検査が必要になります。

実際、ASC-USにタチの悪いHPVが感染していた人426名を詳しく調べたところ、2名に癌が見つかり、11名に高度異形成という癌の一歩手前の状態が見つかった、という論文があるのです。
そのため、ASC-USという検診結果が出ている方は、HPVに感染しているかどうか詳しく調べることになります。


HPVってどうやって調べるの?

具体的にHPVを検査する方法ですが、子宮頸癌検診で子宮の表面を擦ったのと同じ方法になります。内診台に上がってもらって、1分もかからないで終わるような短時間の検査で、痛みもほとんどないので、あまり緊張せずに受けてくださいね。


ASC-USでタチの悪いHPVに感染していたらどうなるの?

HPVがいるかどうかを調べた結果、タチの悪いHPVがいることがわかると、さらに詳しく調べることになります。
 
検診では、細胞診と言って子宮の表面を擦るだけの検査でしたが、これだと検査できる量がとても少ないので、今度は組織診という検査をすることになります。

組織診では、今までと同じように内診台に上がってもらって、悪そうに見える部分をパチッとつまみ取る形になります。パチッとする時に少し痛みがありますが、麻酔が必要になる程の激痛ではないので、そこまで心配しなくても大丈夫です。

この組織診の結果が、だいたい1~2週間で戻ってくるので、その結果を踏まえて、経過観察の間隔を決めていきます。
 
子宮がん検診に引っかかると、いろいろ不安なことも多いと思いますが、このブログを読んで、少しでも不安な気持ちが楽になってもらえれば、と思います。