東日本橋レディースクリニック

東日本橋にある駅チカクリニックです。診察中には説明しきれない事を中心に女性医療に関する事を書いています。

妊娠とカフェインについて

妊婦健診をしていると、妊娠中に気をつける事を聞かれるのですが、その中でもカフェインについては、よく聞かれる項目です。

 

そこで今回はカフェインと妊娠に関する論文をご紹介したいと思います。

 

まずはこちら。

 

Maternal total caffeine intake, mainly from Japanese and Chinese tea, during pregnancy was associated with risk of preterm birth: the Osaka Maternal and Child Health Study.

 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25773355

 

こちらは、858名の日本人女性が妊娠中に摂取したカフェインが出産にどのように影響したかを調べています。

 

出産の影響としては、2500g未満で生まれる低出生体重、37週未満で生まれる早産、SGA(週数平均の身長・体重のうち、下位10%に入ること)という項目です。

 

カフェイン摂取の元としては、73.5%がお茶、14.3%がコーヒー、6.6%が紅茶、3.5%がソフトドリンクでした。

 

その結果、カフェインの摂取によって早産の確率が上がることがわかりましたが、低出生体重やSGAのリスクは変わりませんでした。

カフェインの種類としては、お茶が早産リスク上昇に関与していましたが、他の飲み物は大丈夫でした。

 

肝心の具体的なカフェイン摂取量に関しては、こちらのリンク先からはわかりませんでした。

 

 

次の論文はこちら。

 

Associations of maternal caffeine intake with birth outcomes: results from the Lifeways Cross Generation Cohort Study.

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/30339199/?i=2&from=/25773355/related

 

この論文では、941人のアイルランド人を対象に、妊娠初期のお茶、コーヒー、ココアなどの摂取と、妊娠の結果について調べています。

 

カフェイン摂取元としては、48%がお茶、39%がコーヒーでした。

 

その結果、カフェイン摂取によって、1日100mgあたり71.9gの出生体重が低下、身長は0.3cm低く、妊娠期間は0.13週短い、という結果となりました。いずれもかなり小さい数値なので、医学的に問題があるかと言われると、それほど影響はなさそうですが、、、

 

ただ、2500g未満で生まれる低出生体重のリスクは47%上昇し、37週未満で生まれる早産のリスクは36%上昇していました。

 

また、コーヒーを最も多く摂取する群では、低出生体重のリスクが3.1倍、早産のリスクが2.74倍、お茶を最も多く摂取する群では低出生体重のリスクが2.47倍、早産のリスクが2.56倍になっていました。

 

そこで、具体的なカフェイン摂取量についてどうなのか、検討したのがこちらの論文です。

 

Preconception care: caffeine, smoking, alcohol, drugs and other environmental chemical/radiation exposure.

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/25415846/?i=5&from=/30790570/related

 

こちらの論文では、カフェインだけではなく、アルコールやタバコについても検討しています。

 

その結果、1日300mg以上のカフェイン摂取は、流産の確率が31%上がり、アルコール摂取も流産の確率が30%上がっていました。また、喫煙によって心臓奇形の確率も2.8倍に上がる事がわかりました。

 

対象となった人数が少なく、この確率自体が精度の高いものではないのですが、少なくともカフェイン摂取量が多くなるとリスクが上がる、という傾向はありそうです。

 

ちなみに、カフェイン摂取によって赤ちゃんの体の大きさに影響が出るか調べた論文もあります。

それがこちら。

 

Caffeine Intake During Pregnancy and Neonatal Anthropometric Parameters.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30970673

 

こちらの論文では、ポーランドで生まれた100人の赤ちゃんを対象に調査しています。

妊娠中のカフェイン摂取量の平均値は、1日あたり68mgで、2%の人だけが1日200㎎以上を摂取していました。

カフェイン摂取の種類としては、63%が紅茶でした。

 

その結果、カフェイン摂取と赤ちゃんの体重、身長、頭囲、胸囲には何の関係も認められませんでした。

そもそもカフェイン摂取量が1日70㎎程度と、かなり少ない量ではありますが、赤ちゃんの体の大きさに対しては、カフェインが影響することは無さそうです。

 

次にご紹介するのは、カフェイン摂取と流産に関する論文です。

 

Pre-pregnancy caffeine and caffeinated beverage intake and risk of spontaneous abortion.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27573467

 

こちらの論文では、今までに自然流産したことがない妊婦さん11072人を対象に、15590件の妊娠について調査しました。

1991年から2009年にかけて、4年ごとにカフェイン摂取量をアンケート調査し、20週未満での自然流産の件数を調べています。

 

その結果、1日に400㎎以上のカフェインを摂取する群では、1日に50㎎未満しかカフェインを摂取しない群と比べて、自然流産のリスクが1.11倍になっていました。また、妊娠前にコーヒーを飲まない女性に比べて、1日に4杯以上コーヒーを飲む女性では、自然流産の確率が20%上昇していました。

 

 

以上、妊娠とカフェインについての論文をいくつかご紹介いたしました。

対象となる妊婦さんの数にばらつきがあったり、カフェイン摂取量がアンケート調査という自己申告によるもの、という点から、厳密な評価は難しい部分がありますが、少なくともカフェイン摂取量が増えると、妊娠に対して様々な影響が出ることは間違いなさそうです。

 

最後になりましたが、コーヒーやお茶などに含まれるカフェインの量をこちらに記載しておきます。

以上の論文から考えて、コーヒー1杯、紅茶1~2杯程度であれば、妊娠中に飲んでも大丈夫と言えそうですので、参考になさってください。

 

コーヒー  1杯 90mg

紅茶    1杯 45mg

抹茶    1杯 64mg

ウーロン茶 1杯 30mg

麦茶・はと麦茶・ルイボスティー 0mg