東日本橋レディースクリニック

東日本橋にある駅チカクリニックです。診察中には説明しきれない事を中心に女性医療に関する事を書いています。

妊娠中の運動について

先日、妊娠中の運動についてのブログを書きました。

 

www.obgyne.work

 

 

この時のブログでは、対象となった人数が少ないものの、妊娠中の運動制限で早産は減らず、むしろ多少運動したほうが早産は減るのではないか、という結論でした。

 

そこで、今回はもう少し大規模な検証をした論文をご紹介したいと思います。

 

それがコチラ。

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/30372455/?i=41&from=exercise%20preterm%20birth

 

こちらの論文では、妊娠前と妊娠中の運動が早産率や分娩形式(経腟分娩、帝王切開や吸引分娩・鉗子分娩)にどの程度影響するかを調べています。

 

対象となったのは単胎の赤ちゃんを出産した92796人の妊婦さん。運動習慣は妊婦さん自身の自己申告で、極軽度、軽度、中等度、高度に分類しました。

 

具体的な運動量としては、メッツという単位で評価しています。これは、座って静かに過ごしている時のエネルギー消費量を「1」とした時に、その運動が何倍のエネルギー消費量になるかを表す数字になります。

 

例えば、料理や洗濯は2メッツ、ストレッチやヨガ、掃除は2.5メッツになります。

 

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そして、該当するメッツに費やした時間をかけたメッツ時を計算し、1週間あたりのメッツ時が0〜1.1メッツ時を極軽度、1.1〜8.2メッツ時を軽度、8.2〜23.1メッツ時を中等度、23.1メッツ時以上を高度と分類しています。

 

先ほどの表でいくと、ヨガやストレッチは2.5メッツ。これを1日1時間、週に3回すると、1週間で2.5メッツ時×3=7.5メッツ時となり、軽度運動群となる計算です。

 

その結果、妊娠中の運動習慣の面で比較すると、極軽度のグループは中等度のグループに比べて、早産の確率が16%高く、器械分娩の確率も12%高い結果となりました。

 

(器械分娩とは吸盤のようなものを赤ちゃんの頭に直接付けて頭を引っ張る吸引分娩や、鉗子という赤ちゃんの頭を挟む器械で直接赤ちゃんの頭を引っ張る鉗子分娩のことです。

いずれも、赤ちゃんの頭が降りてきた時に、赤ちゃんの心拍数が苦しそうなサインを示した時、急いで赤ちゃんを出さないといけなくなると選ぶ分娩方法になります。)

 

また、運動が軽度のグループにおける帝王切開のリスクと、運動が高度のグループにおける器械分娩のリスクがいずれも運動中等度のグループのリスクより高い結果となりました。

(帝王切開のリスクは7%、器械分娩のリスクは12%高くなっていました)

 

その一方で、妊娠前の運動強度に関しては、各グループ間で明らかな違いはありませんでした。

 

以上のことから、妊娠中の運動強度が弱いと、早産率や帝王切開の確率が上がる、と言えそうです。

 

このデータ自体が、双子以上の赤ちゃんを妊娠している方や、流産・死産となった方は含めていないので、全ての妊婦さんに当てはまるものではないのですが、少なくとも妊娠中には出来るだけ安静にした方がいい、とは言えないですね。

 

一度、1週間の運動を見直してみて、自分のメッツがどの程度か計算しておくと、妊娠してからの参考になると思いますので、試してみてください。