東日本橋レディースクリニック

東日本橋にある駅チカクリニックです。診察中には説明しきれない事を中心に女性医療に関する事を書いています。

陣痛促進剤は悪なのか

皆さんは陣痛促進剤に対して、どのようなイメージを持っているでしょうか。

 

陣痛促進剤を使ったことで赤ちゃんが亡くなってしまった、という裁判があったりして、あまり良いイメージを持ってない人もいるかと思います。

 

陣痛促進剤そのものではなく、その使い方・使う量に問題があった、という原因が多いかと思うのですが、今回は陣痛促進剤を使う事がどうなのか検討した論文をご紹介したいと思います。

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/30817905/

 

こちらの論文では、66019人の初産婦が妊娠39週で陣痛誘発を受け、584390人が自然に陣痛がくるのを待機しました。

 

その結果、帝王切開率は誘発群:26.4%、待機群:29.1%、分娩前後の感染率が誘発群:2.8%、待機群:5.2%といずれも誘発群にメリットがある結果となりました。

 

その他にも、赤ちゃんが呼吸器疾患にかかる確率が誘発群:0.7%、待機群:3.0%、胎便吸引症候群(赤ちゃんが羊水中に出した胎便を吸い込んでしまって呼吸障害が出てしまう事)の確率が誘発群:0.7%、待機群:3.0%、NICUに入院する確率が誘発群:3.5%、待機:5.5%という結果となり、やはり誘発群の方が良い結果となりました。

 

最後に、出産前後の赤ちゃんの死亡率に関しても、誘発群:0.04%に対して、待機群:0.2%という結果となりました。

 

以上のことから、39週を過ぎた時には、陣痛が来るのを待つよりも誘発をした方が様々なリスクを下げることができると言えそうです。

 

出産そのものには多くのリスクを伴い、100%安全な方法というのは存在しません。

 

そこに誘発のような何らかの医学的介入があり、予期せぬ結果となった時、あたかもそれがすべての原因のように見えることもあります。

 

しかし、その医学的介入が本当に原因なのか、介入していなければ、その予期せぬ結果は起きなかったのか、介入することで予期せぬ結果の確率自体は下げられているのではないか、という視点で見ることは大切なことだと思います。

 

少なくとも、妊娠39週を過ぎてから、使用法・使用量を守った促進剤の使用に関しては、十分使うメリットがあると言えそうです。