東日本橋レディースクリニック

東日本橋にある駅チカクリニックです。診察中には説明しきれない事を中心に女性医療に関する事を書いています。

妊娠中の睡眠薬・抗不安薬について

睡眠薬抗不安薬にはいくつか種類があるのですが、今回はその中でもベンゾジアゼピン系と言われる薬と妊娠に関して説明したいと思います。

 

ベンゾジアゼピン系という薬は、幅広い効果があり、睡眠薬抗不安薬、抗痙攣薬、筋弛緩薬としてよく使われています。

 

そのため、この薬を飲みながら妊娠が見つかる、ということもよくあります。

 

そこで今回ご紹介する論文はこちら

 

Benzodiazepine Use During Pregnancy Alone or in Combination With an Antidepressant and Congenital Malformations: Systematic Review and Meta-Analysis. - PubMed - NCBI

 

ベンゾジアゼピン系の薬を単独で飲んでいる場合と、それに加えて抗うつ薬を併用している場合の赤ちゃんの奇形率について調べた論文です。

 

まず、妊娠期間中にベンゾジアゼピン系単独で内服した5195人のうち、先天奇形があったのは222人(4.27%)でした。一方で薬を内服していない2,082,497人のうち、先天奇形は64,335人(3.09%)であり、あきらかな違いは認めませんでした。

 

また、妊娠初期は最も薬の影響が出やすい時期ですが、この時期に限定すると、ベンゾジアゼピン系単独で内服した4331人のうち181人(4.18%)に先天奇形を認めています。一方で、内服していない2,081,463人のうち、64,308人(3.09%)に先天奇形を認めており、明らかな違いはありませんでした

 

先天奇形のうち、心臓奇形に限定して調べてみても、ベンゾジアゼピン系単独では、4414人の先天奇形のうち61人(1.38%)に認められたのに対し、内服していない2,033,442人の中では19,260人(0.95%)に心臓奇形が認められ、明らかな違いは認められませんでした。

 

しかし、ベンゾジアゼピン系の薬と抗うつ薬を併用した場合は、先天奇形の確率が1.40倍になっていました。

 

以上のことから、ベンゾジアゼピン系の薬を単独で飲む分には奇形に関して心配する必要はないものの、抗うつ薬と併用する場合は注意が必要と言えます。

 

続いてご紹介する論文はこちら

 

Maternal exposure to benzodiazepine and risk of preterm birth and low birth weight: A case-control study using a claims database in Japan. - PubMed - NCBI

 

こちらの論文では、ベンゾジアゼピン系の薬や抗うつ薬が早産や低出生体重児(2500g未満で生まれること)の確率に影響するかどうかを調べています。

 

対象となったのは、737人の早産児と1615人の低出生体重児で、全体では42,058件の出産を調べています。

 

その結果、ベンゾジアゼピン系の薬では早産の確率が2.03倍になりましたが、低出生体重児のリスクと明らかな関係は認めませんでした。

 

一方で、抗うつ薬に関しては早産や低出生体重児の確率に明らかな関係は認めませんでした。

 

ベンゾジアゼピン系の薬だけ早産の確率が増えているので、あまりに早い早産は問題になりますが、2500g未満での出生リスクに明らかな関係はないため、それほど大きな問題ではなさそうです。

 

続いての論文はこちらです。

 

Association Between Incident Exposure to Benzodiazepines in Early Pregnancy and Risk of Spontaneous Abortion. - PubMed - NCBI

 

こちらの論文では、ベンゾジアゼピン系の薬を妊娠初期に内服した場合の流産に関するデータを検討しています。

 

対象となったのは、1999年から2015年までに妊娠したカナダのクベック州における妊婦さん442,066人です。

 

妊娠前の最終月経初日から流産する日までにベンゾジアゼピン系の薬を内服した方を対象とし、妊娠6週0日から妊娠19週6日までの流産を検討しました。

 

その結果、27,149人(6.1%)が流産となりました。そのうち、375人(1.4%)が妊娠初期にベンゾジアゼピン系の薬を内服しており、内服薬以外の条件を合わせた134,305人のうち788人(0.6%)が流産していたことと比較すると、ベンゾジアゼピン系の薬には2.39倍の流産リスクがある結果となりました。

 

 

 

もちろん、妊娠がわかったからと言って、いきなり薬をやめてしまうのは危険ですから、妊娠を考えはじめた時に、少しずつ薬を調整することが大切です。

 

また、薬を内服中に予期せず妊娠した場合には、内服している薬に関して、処方しもらっている先生とよく相談するようにして下さいね。