東日本橋レディースクリニック

東日本橋にある駅チカクリニックです。診察中には説明しきれない事を中心に女性医療に関する事を書いています。

虫歯予防のフッ素と妊娠の関係

虫歯予防にフッ素が有効である、というのは聞いたことがあるかと思います。

また、国によっては、そのフッ素が水道水に含まれているところもあったりします。

 

そこで、今回はフッ素が妊娠に与える影響について調べてみました。

 

まずはこちらの論文。

 

Association Between Maternal Fluoride Exposure During Pregnancy and IQ Scores in Offspring in Canada. - PubMed - NCBI

 

カナダにおける512組の妊婦・赤ちゃんについて、妊娠中のフッ素摂取と、3〜4歳時点でのIQの関係について調べました。

妊娠中のフッ素摂取に関しては、妊婦さんの尿中に含まれるフッ素濃度で評価しています。

妊婦さんの平均年齢は32.3歳、463名(90%)が白人で、264人(52%)の子供が女の子でした。

 

水道水にフッ素が含まれる地域の妊婦さんは141人で、尿中フッ素濃度は0.69mg/L、1日フッ素摂取量は0.93mgでした。

一方で、フッ素が含まれない地域の妊婦さんは228人で、尿中フッ素濃度は0.40mg/L、1日フッ素摂取量は0.30mgでした。

 

子供達の平均IQスコアは107.16でした(女の子は109.56、男の子は104.16と、女の子の方がIQは高い結果でした)

 

そこで、フッ素濃度とIQの関係を調べてみると、男の子では尿中フッ素濃度の1mg/L上昇あたりIQが4.49ポイント低下していたのです。

しかし、女の子では尿中フッ素濃度とIQの関係性は認められませんでした。

 

また、1日フッ素摂取量に関しては、1mg増えるごとにIQは3.6低くなる結果でした。

 

以上のことから、妊娠中にフッ素を積極的に摂取することは控えた方が良さそうです。

 

次に、フッ素が早産を予防するかどうかを検討した論文です。

もともと歯周病があると早産の確率が高くなると言われており、フッ素により虫歯を減らせば早産が減るのではないか、という点で検討されています。

 

Dental Cleaning, Community Water Fluoridation and Preterm Birth, Massachusetts: 2009-2016. - PubMed - NCBI

 

対象となったのは、9234人の妊婦さん。デンタルクリーニング(歯科で行う歯のクリーニング)だけを行う群、水道水にフッ素が入っている群、前者二つをどちらも行う群の3つに分けて検討しました。

58.7%がデンタルクリーニングを受けていて、63.6%が水道水にフッ素が入っている場所に住んでいました。

 

その結果、デンタルクリーニングだけを受けた群では早産率が0.74倍、デンタルクリーニングとフッ素入り水道水の両方ある群では早産率が0.74倍という結果でした。

 

一方で、フッ素入り水道水だけの群の早産率は、デンタルクリーニングもフッ素入り水道水もない群と比較しても明らかな違いはありませんでした。

 

この論文の結果からは、デンタルクリーニングが大事で、フッ素入り水道水はそれほど大きな役割を果たしていないことが読み取れます。

 

以上、2つの論文から言えることは、妊娠中の歯科検診は大切ですが、フッ素を使った予防医療に関しては、あえて妊娠中に行う必要はないのだろう、という結果でした。

 

日頃から歯科検診を受けることは大切ですが、特に妊娠中は気をつけて歯科検診を受けるようにしましょう。