東日本橋レディースクリニック

東日本橋にある駅チカクリニックです。診察中には説明しきれない事を中心に女性医療に関する事を書いています。

バルトリン腺が腫れた時の治療法

バルトリン腺というのをご存知でしょうか。

 

これは、腟の入り口から1cmほど奥に入った部分にある左右一対の分泌腺で、粘液を出すことで性行為をスムーズにする役割があります。

 

この分泌腺の出口が何らかの原因で詰まってしまった時、粘液がバルトリン腺の中に溜まってしまい、腫れてしまうことがあります。また、その中に雑菌が入ると感染を起こしてしまい、かなり強い痛みを引き起こします。

 

粘液が溜まって腫れているだけであれば、違和感程度で済むのですが、細菌感染を起こしてしまうと、痛くて仕方がないので、外科的な処置が必要になります。

 

ある程度、大きくなっていると、外来で針を刺して中の膿を出してしまえば、その時点でだいぶ楽になるのですが、もともと粘液が溜まってしまうことが原因なので、また再発してしまう事も。

 

そこで、ただ刺すだけでは再発を繰り返しやすいため、刺すのを繰り返すのが嫌な方は、もう少し大きな手術をすることになります。

 

その手術の一つが「造袋術」もしくは「開窓術」と言って、バルトリン腺の部分の皮膚を切り取り、粘液の通り道を新たに作る方法です。

 

これであれば、ただ刺すだけの治療よりも再発率は低くなるのですが、それでもまた再発してしまうこともあります。

 

そして、もう一つの方法が「摘出術」

文字通り、バルトリン腺そのものを取ってしまう手術です。これをすれば、当然ながらバルトリン腺が再び腫れることは無くなるのですが、粘液を出す部分を取ってしまってもいいのか、という不安が残ります。

 

そこで、今回ご紹介する論文はこちら。

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/30308402/?i=145&from=obstetrics%20gynecology&filters=RandomizedControlledTrial

 

こちらの論文では、上で説明した「造袋術」と「摘出術」のそれぞれで性的機能にどのような違いが出たかを比較検証しています。

 

バルトリン腺が腫れた134名の女性を、造袋術と摘出術に割り振りました。それぞれのグループには年齢や出産経験、バルトリン腺の大きさの違いはなく、感染したバルトリン腺の大きさはおおよそ3〜4cm程度でした。

 

摘出したグループに再発した方はいませんでしたが、造袋術のグループでは5名が再発していました。

術後の性交痛は、造袋術で15.1%だったのに対し、摘出術では2.9%でした。

 

また、FSFIという性機能に関するスコア(性欲や性的興奮、満足度や痛み)を比較したところ、どちらの手術でもスコアは下がり、満足度に低下が見られたものの、造袋術は22.33、摘出術では24.76と、わずかに摘出術が上回る結果となりました。

 

バルトリン腺は、腫れない人は全く腫れないのですが、原因がはっきりしないまま、何度も腫れてしまう人もいます。

 

刺して中の膿を抜くことを繰り返すのが辛くなってきた時には、造袋術や摘出術もあるんだと参考にして頂ければ、と思います。