東日本橋レディースクリニック

東日本橋にある駅チカクリニックです。診察中には説明しきれない事を中心に女性医療に関する事を書いています。

帝王切開の前の腟洗浄は意味があるか

手術をする時、感染予防のために手術部分を消毒するのですが、帝王切開では、子宮から繋がっている、ということもあって、腟の中も消毒することがあります。

 

その消毒に意味があるのかどうかを検証した論文がこちら。

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/31539171/?i=4&from=cesarean%20section

 

帝王切開後の創部感染は1割程度で起こると言われています。そこでクロルヘキシジンという薬を使って帝王切開前に腟内を洗浄することで、術後の感染を減らせるかどうかを検討しました。

 

対象となったのは、16歳以上で妊娠34週以降に帝王切開となった方たちです。

帝王切開には緊急手術も予定手術も含まれています。

 

彼女たちを、0.05%のクロルヘキシジンで消毒するグループと、消毒しないグループに分け、術後6週間までフォローしました。

320名が対象となり、そのうち88名は緊急帝王切開でした。

 

その結果、クロルヘキシジンで消毒した152名のうち2名(1.3%)が子宮内膜炎という感染を起こしました。

一方で、消毒しなかったグループでは、155名のうち1名(0.7%)が感染を起こしました。

 

以上のことから、帝王切開前に腟内を消毒しなかったとしても、術後の感染が劇的に増えるわけではない、と言えそうです。

 

消毒そのものは、体に害を及ぼす菌も、本来いないといけない菌=常在菌も殺してしまう可能性があり、ひと昔前には何でも消毒していたのが、少しずつ見直されて来ている状況だと思います。

 

例えば、転んで怪我をした時も、昔であれば痛いのを我慢して消毒していたものですが、今では出来るだけ多くの綺麗な水で流し、異物を取り除くことが大切だと言われています。

 

それと同様に、帝王切開前に腟内を消毒することは、それほど意味のないことなのかも知れませんね。