東日本橋レディースクリニック

東日本橋にある駅チカクリニックです。診察中には説明しきれない事を中心に女性医療に関する事を書いています。

子宮内膜症の再発予防について

強い生理痛の原因として、子宮内膜症というものがあります。

 

https://hnlc.hatenadiary.jp/entry/2019/08/28/175552

 

以前も子宮内膜症についてのブログを書いたのですが、今回は子宮内膜症によって手術をした後の話をしたいと思います。

 

子宮内膜症というのは中々厄介なもので、手術をして症状が改善したとしても、また年単位で症状が出てくることがあります。

 

そういった再発を防ぐため、手術後も継続して治療することをオススメします。

再発予防と言っても、すごく特別な事をする訳ではなく、いわゆる生理痛に対しての治療薬であるピルなどのホルモン治療を行うことになります。

 

ちなみに、ロキソニンなどの鎮痛剤に関しては症状を抑えることは出来ても、子宮内膜症の再発を抑えることは出来ません。

また、基本的に子宮内膜症による痛みは年単位で強くなっていくことが多いのですが、そういった子宮内膜症の進行というものも抑える事ができません。

 

痛みそのものに対しては適宜鎮痛剤を使ってもらった上で、子宮内膜症そのものに対するホルモン治療を行うことが大切です。

 

そこで、今回ご紹介する論文はこちら

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/30065547/?i=29&from=dienogest

 

こちらの論文では、子宮内膜症に対して内視鏡手術をした後の治療法として、ディナゲストとリュープリンという薬を比較検討しています。

 

ディナゲストというのは生理痛に対して使う飲み薬で、ピルと同じような効果があります。

メリットとしては、ピルに見られるような血栓症というリスクがないこと。

デメリットとしては、月4000円前後とピルに比べてやや高いことや、副作用としての不正出血が多いことが挙げられます。

 

血栓症という副作用がないことから、血栓症リスクでピルが飲めない人には良い選択肢となります。

 

一方でリュープリンというのは毎月1回打つ注射になります。

主に子宮筋腫を小さくする時に使う薬なのですが、この注射を使うことで一時的に閉経状態とできるため、大きすぎる筋腫の手術前に注射をすることで筋腫を小さくし、手術をやりやすくする効果があります。

 

ただし、閉経状態となるため、女性ホルモンが低下し、更年期症状が出たり、長期使用による骨密度の低下リスクがあります。

骨密度低下のリスクを考えて、基本的には半年しか注射を打てないことになっています。

 

このディナゲストとリュープリンという二つの治療法を内膜症の手術後3ヶ月に渡って比較しました。

 

いずれの治療でも骨盤の痛みや腰の痛み、性交痛は明らかに改善しました。

 

副作用に関しては、やはりディナゲストでは不正出血の確率が高く、64.5%に認められたのに対し、リュープリンでは21.5%でした。

 

また、ディナゲストの10.8%に体重増加が認められたのに対し、リュープリンでは3.3%でした。

 

一方でリュープリンによく見られた副作用は、ホットフラッシュが46.3%、腟乾燥感が15.7%となっていたのに対し、ディナゲストの方はホットフラッシュが15.7%、腟乾燥感が3.3%という結果でした。

 

以上のことから、ディナゲストもリュープリンも内膜症手術の後の治療法としては有効であり、いくつかの副作用を比較しながら、自分にあった治療を選んでいく必要があると言えます。

 

実際には、リュープリン自体は閉経状態に持ち込むことによる骨密度の低下を懸念して、年単位で使うのは難しいため、自然に閉経するまで時間がある方は、ディナゲストを年単位で使っていくことが多いです。

 

その辺は主治医の先生とよくよく相談して決めていって下さいね。