東日本橋レディースクリニック

東日本橋にある駅チカクリニックです。診察中には説明しきれない事を中心に女性医療に関する事を書いています。

子宮脱の手術をする時のこと

さまざまな手術、特にお腹の手術をする時には、腸の中に溜まっている便を出来るだけ手術前に出しておこう、と下剤を飲む前処置というのをする事があります

 

そうしないと、麻酔がかかった状態になって便が出てきてしまうと、においや感染など術野が大変なことに、、、

 

ということで、今回は子宮脱に対する手術の前処置に関しての論文をご紹介したいと思います。

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/30803168/?i=46&from=obstetrics%20gynecology&filters=RandomizedControlledTrial

 

まず、子宮脱というのは腟の中に子宮が降りてきたり、完全に外に出てしまう状態を言います。

 

完全に外に出ると言っても、ポロっと取れる訳ではなく、股の間にぶら下がった状態となり、痛みがある訳でもないので、ご心配なく。

 

とは言っても、握り拳ほどの子宮が股に挟まっていると違和感は大きいですし、下着に擦れてしまって、少量の出血を伴うこともあります。

 

また、腟の中に子宮が降りてくるだけで違和感を感じる事もあります。

 

子宮脱の原因は?

 

子宮を支えている筋肉が衰えてしまうことが大きな原因となります。主に加齢によって筋肉はどうしても弱まってしまい、それによって子宮はどんどん重量で降りてくることになります。

稀に出産による影響で子宮が降りてしまう事もあります。

 

子宮脱の対策は?

 

子宮が少し降りてくる程度であれば、筋肉を鍛えることで改善する可能性はあります。

 

とは言っても腹筋や重いものを持つような動作はお腹に力が入ってしまい逆効果。お腹に力を入れると、その圧力の逃げ場として子宮が出てしまう方向に力が加わってしまい、子宮脱の改善とは真逆の効果になってしまいます。

 

鍛え方としては、骨盤底筋運動と言って、オナラが出そうになった時に我慢する力の入れ方が適切な運動になります。1日に何度もお尻周りに力を入れることを心がけましょう。

 

それでも改善しなかったり、完全に子宮が外に出てしまっている場合は、腟の中に着脱式のリングを入れたり、手術を検討することになります。

 

そこで、最初にご紹介した論文についてです。

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/30803168/?i=46&from=obstetrics%20gynecology&filters=RandomizedControlledTrial

 

この論文では、腟の方から子宮脱の手術を受けた120人を対象に、60人は下剤を飲む前処置を行い、60人はそういった前処置を行わないグループに分けました。

 

子宮脱の手術には、腟の方から子宮を取る手術や、腹腔鏡で子宮の靭帯を縛る手術などが含まれ、平均年齢は60〜62歳、麻酔方法や手術時間はどちらのグループにも差はありませんでした。

 

下剤による前処置を行わなったグループでは、6名(10%)が術中に便が出ましたが、前処置を行ったグループでは、19名(32%)に便が出てしまいました。

 

中でも前処置を行ったグループでは6名(10%)では、便の出る量が多かった一方で、前処置を行わなかったグループでは、1名(2%)のみでした。

 

また、前処置を行うことで、吐き気や嘔吐、お腹の張る感じ、疲労感、動悸と言った副作用の出る確率も上がっていました。

 

以上のことから、子宮脱の手術をする時には下剤を飲むという前処置はやらない方がメリットが多いと言えそうです。