東日本橋レディースクリニック

東日本橋にある駅チカクリニックです。診察中には説明しきれない事を中心に女性医療に関する事を書いています。

風疹ワクチンを打ったのに抗体がつかない

妊娠初期には風疹の抵抗力を示す「抗体」をチェックするのですが、「ワクチンを打ったのに」抗体が低い方が結構います。

 

そこで、今回は風疹ワクチンと抗体に関するデータを紹介したいと思います。

 

風疹抗体の値は、HI法という検査方法で調べるのですが、16倍以下を低抗体価と定義します。

 

NTT東日本関東病院という病院では、2008年から2018年にかけて、4657人の風疹抗体価を測定し、32.4%である1507人が低抗体価でした。

 

そのうち、374人がMRワクチンを接種し、次の妊娠時に72人が風疹抗体価を測定しました。

 

72人のうち、次回妊娠時に風疹抗体価が32倍以上へ上昇したのは36.1%で、残りの63.9%は低抗体価のままでした。

 

前回妊娠時の風疹抗体価を16倍、8倍、8倍未満に分けて検討した所、MRワクチンを接種することで、32倍以上になった確率は、38.7%、18.5%、64.3%と、8倍未満だった群が一番上昇する確率が高い結果となりました。

 

このように、前妊娠時の風疹HI抗体価が8倍未満の場合は、8倍、16倍の場合と比較して、ワクチン接種による抗体価上昇効果が高いことがわかります。

 

他の論文でも、風疹抗体価が高いほど、ワクチンによる抗体価上昇効果が低くなることが示されています。

 

しかし、低抗体価に対して何度もワクチン接種をする必要性はない、と「医療関係者のためのワクチンガイドライン」というものに示されていて、2回の確実なワクチン接種記録があれば十分とされています。

 

http://www.kankyokansen.org/modules/publication/index.php?content_id=17

 

以上のことから、せっかくワクチンを打ったのに、また抗体が低かった、、、という事が起きる確率はそれなりに高いものの、しっかりワクチンを打っていれば、それほど心配はいらないことがわかります。

 

ただし、風疹抗体価が高くても、ウィルスに濃厚に接触すると、風疹に感染する可能性はあり、抗体価が32倍以上であっても先天性風疹症候群を避けられなかった、という報告すらあります。

 

そのため、抗体価が高かったとしても、風疹感染予防を心がけることは大切ですし、抗体価が低い方は、しっかりとワクチンを打つようにしましょう。