平和島レディースクリニック

診察室では説明しきれないことを中心に

打撲や術後の腫れを治す漢方

あまり打撲の患者さんを診ることがないのですが、先日近くの総合病院からのお便りの中で、整形外科の先生が打撲の腫れに対する漢方を説明されていたので、今回はそれについて説明したいと思います。

 

打撲であったり、術後であったり、ある程度腫れてしまうのは仕方がないと思ってきました。

 

氷で冷やしたり、解熱鎮痛剤を使ったり、、、

そこに漢方の選択肢があるのは初めて知りました。

 

その漢方薬

 

治打撲一方

(ぢだぼくいっぽう)

 

と言います。

 

打撲や骨折の腫れにも効く様子。

 

実際に論文を調べてみると、

 

http://www.k-kenkyukai.com/nougekampo/kaishi/file/all/ZX201605.pdf

 

・内服した患者33名のうち、10名は改善、23名は悪化なし

・使用した医師13名のうち、10名は腫れ軽減を実感

 

評価方法が処方した医師の主観だったり、人数も少なかったりと、確実に効果が証明された論文とは言えませんが、悪化していないことから、試してみてもいいのかな、という印象です。

 

特に、怪我や手術をした直後から、少しずつ腫れてきてしまう場合に、冷やしたり圧迫したりという物理的な対応しかない中で、漢方という選択肢があるのは、目からウロコでした。

 

 

今度、足の小指を激しくぶつけた時には試してみたいと思います。

 

 

緊急避妊薬について

緊急避妊法とは、避妊に失敗した性行為の後、72時間以内に緊急避妊薬を内服する方法です。


避妊に失敗した場合、妊娠の可能性がない、と言える時期はほとんどありません。

特に生理不順があったり、最後の生理がいつだったか確かでない場合は、なおさら妊娠の可能性を考えないといけません。


精子の生存期間は1週間近くあり、排卵日の1~2日前までの性行為なら妊娠の確率は3割程度、5日ほど前でも1割程度は妊娠の可能性があります。

そのため、避妊に失敗した場合は、緊急避妊薬の服用を考えなければなりません。


この緊急避妊薬を内服することで、排卵を抑えたり、遅らせることが期待できます。排卵前に内服することで、8割の確率でその後5~7日間の排卵を抑えると言われており、その期間に精子が受精能力を失う事になります。


緊急避妊薬は「ノルレボ錠」というもので、避妊に失敗してから出来るだけ早く内服することが必要です。72時間以内の内服が原則ですが、72時間を超えて内服しても、妊娠率を低下させる、という報告もあります。

また、同じ月経周期の間に2回以上緊急避妊薬した場合は、月経周期が乱れる可能性がありますが、避妊のためには繰り返し使用することは問題ありません。

薬を飲むことで将来の妊娠に対して影響することもありません。


クリニックによっては、なぜ緊急避妊が必要になったのかを細かく聞いたり、中にはお説教する所もあると聞きます、、、

私としては、まずは薬を飲むことが大事だと考えているので、細かい理由をお聞きすることはないですし、お説教なんてもってのほかです。



一番大事なのは

出来るだけ早く飲むこと


そのために、心配であれば早めに受診するようにして下さいね。

学会に行ってきました

先日、年に一度の産婦人科学会のために名古屋に行ってきました。

 

各病院の先生方が経験された貴重な症例の発表を知れる大切な学会です。

 

自分で経験できる症例には限りがあって、珍しいものは、何となく頭の中にあっても、実際に診察して見つけられるかというと、なかなか難しいこともあります。

 

それでも、こういった学会で他の先生の発表を聞き、「追体験」しておくことで、少しでも珍しい病気への注意力を高めておくことは大切なことだと考えています。

 

f:id:obgyne:20190412150520j:image

 

毎年、全国各地で開かれるのですが、北海道で開かれることもあり、勤務医時代は数日開かれる学会に参加する日と当直で病院に残る日を分けなければならず、参加したい講演にも参加できない不都合がありました。

 

全てオンラインでやってくれると、みんな自由に参加できるので、将来的にはそうなってほしいですね。

 

妊婦検査での赤ちゃんのエコーの講義や、AMHといういわゆる「卵巣年齢」の検査、NIPTという新型出生前検査についてなど、大変勉強になった学会でした。

 

特にNIPT:新型出生前検査に関しては、妊婦健診を受けられる妊婦さんから質問されることもあって、何とか自分のクリニックでも出来ないものかと思っていたものです。

 

ただ検査するだけで、その結果の意味や解釈については細かく説明しないクリニックがあり、検査を受けた妊婦さんも困ってしまうケースがあるとのことで、やはり遺伝カウンセリングもしっかりした上での検査が必要であると再認識できました。

 

NIPTによって全ての染色体異常が分かるわけではないということ、100%の精度ではないということ、見つかった染色体異常が出産までにどういった経過を辿り、出産後はどうなるのか、ということ、そして、その結果を家族がどう受け取って、どのような方針を選ぶのか、ということ。

 

そこまでしっかりサポートできた上で、NIPTの検査をやらなければならないということです。

 

産婦人科学会も今年の6月には検査をする施設の指針を出すようですので、それを受けて自分のクリニックでもどのように対応していくか、考えたいと思っています。

 

もし、NIPTの検査を受けようと思っている方は、簡単に検査だけ受けられる所ではなく、しっかりとカウンセリングもしてくれる病院で検査を受けるようにしましょう。

 

 

死産後の妊娠はいつから可能なのか

妊娠したものの残念ながら死産になってしまった場合、次の妊娠をいつから考えても良いか、ということに関しての論文があるので、ご紹介します。

 

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(18)32266-9/fulltext

 

こちらの論文では、フィンランド、ノルウエー、オーストラリアの妊婦さんの中で、残念ながら死産になってしまった14452名の統計をまとめています。

 

平均して死産の9ヶ月後に妊娠されていて、9109人(63%)が一年以内に妊娠されていました。

 

14452名のうち、228名(2%)が再び死産となり、2532名(18%)が早産となり、1284名(9%)が赤ちゃんが小さく生まれました。

 

これらのデータから、死産後1年以内に妊娠した方と、2〜5年後に妊娠された方を比べた場合、再び死産となったり、早産となったり、赤ちゃんが小さく生まれるリスクは変わらない事がわかりました。

 

それは、死産後半年以内でもリスクは変わらないという結果でした。

 

また、死産となった週数を考慮しても、次の妊娠までの期間とリスクには影響しませんでした。

 

以上のことから、死産後1年以内の妊娠はよくあることであり、早く妊娠したからといって、リスクが高くなるわけではない、ということになります。

 

もちろん、気持ちの面で落ち着くまで、なかなか次の妊娠のことは考えられないとは思いますが、必ず一定の期間を空けないといけない、という決まりはないので、次の妊娠を考える時には、死産を診てもらった病院で一度相談してみてください。

 

 

生理前に食欲が増える理由

生理前になると、どうしても食欲が増えてしまう、という方は多いと思います。

 

今回は、その理由について説明したいと思います。

 

まず、生理がある程度規則正しくきている人は、生理開始日から2週間ほどして排卵します。

 

排卵後の卵巣には黄体というものが作られ、そこから「黄体ホルモン」が分泌されるのですが、この黄体ホルモンが排卵後から次の生理まで出続けるために、様々な体調不良が出現することになります。

 

黄体ホルモンには、水分を蓄えたり、腸の動きを抑える働きがあるため、生理前になるとむくみやすくなったり、便秘になりやすかったりします。

 

また、この黄体ホルモンにはインスリンというホルモンの働きを抑える作用があります。

 

インスリンの働きが抑えられると、食後に血糖値が急激に上昇します。その後、血糖値が下がる時に、その落差が大きければ大きいほど、体は「飢え」の恐怖にかられ、食欲が増えることになります。

 

そのため、生理前には食欲が増えてしまうことになります。

 

そこで、食欲が増えることも含めて、妊娠前の調子の悪さを改善するためには、婦人科ではピルを使うことがあります。

 

ピルは排卵を抑えるため、排卵後に出てくる黄体ホルモンも抑え込んで、症状を改善できることになります。

 

 

ただ、ピルそのものにも黄体ホルモンは微量ながら含まれており、その影響を受けてしまう方は、ピルを飲むことで逆に体調が悪くなってしまうことがあります。

 

そう言った場合は、ピルの種類を変えることで、そこに含まれる黄体ホルモンの種類も変わるため、症状が改善することがあります。また、何ヶ月か同じピルを継続することで、徐々に体が慣れていくこともあります。

 

 

以上、生理前に食欲が増えたり、体調を崩す理由について説明しました。

 

婦人科での治療が可能な事も多いので、困ったいるときは、一度相談してみて下さいね。